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俺と妹と、(ロシアな奴ら+ジェロム)
 
 1000HITリクエストで『哀願末期』篠時イツ様より頂きました。

 ロシアンです。コメディです。

 笑えるものを…とお願いしたところ素晴らしく噴き出せるものを書いて下さりましたw
 マクシームの兄さんが最高です。とにかく最高です(いろんな意味で












ボズレフ「うぇっ!?何でしょうか、こいつは」

ヴィクトール「知らん。何故か渡されたんだ」

ボ「これは台本!?ここのサイトでコレは、私達に無関係の筈では無かったのですか」

ヴ「管理人の思い付きだ。…耐えろ」

ボ「分かりました。…何やら楽しそうですね」

ヴ「そうか!?」

ボ「それではアヤメ様、心して次へお進み下さい」

ヴ「1000HIT、感謝する」
 



「ちょっと兄さん!!あんた、ジェロムに何てこと吹き込むのよ!?」


妹の怒りの声と共に、ウォトカの瓶が数本飛んできた。


避けてしまっては、地面と衝突して中身が飛び散ってしまう。そんなことをさせるものか、とサーカスの曲芸宜しく、我ながらのバランスでウォトカ10本受け取った。


「なかなかやるじゃない。でも、これはどうかしら!?」


凄まじい勢いで、地面に叩き付けられるピロシキ。揚げたての美味しそうなピロシキ。



すまん、ウォトカ。



せっかく助けた10本の命だが、ピロシキには替えられない。がしゃんがしゃんと瓶の割れる音が響く中、ピロシキを咀嚼する俺。


「あんふぇふぉふぉふるんは(何てことするんだ)」


リディアの前に仁王立ち。「食べる物を粗末にするな」の説教も忘れない。殉死した10本には大変申し訳ないと思っている。


「兄さんがジェロムに変なこと言うからでしょ!?」


リディアが右足を踏み鳴らして訴える。


「私がジェロムに何て言われたか分かる??『マクシームは本気でリディアのこと好きなんだな』ですって!!しかも苦笑しながらよ!?恥ずかしいったらありやしない!!」


顔を真っ赤にしてまくし立てるリディアに気圧されて後ずさる。…物凄い剣幕だ。


「で、でも「でもじゃない!!」


「だ、だっ「だってでもない!!」


言い訳もさせて貰えそうにない。恐ろし過ぎる。もともと切れ長の眼ではあるが、今は完璧に眦が裂けている。これを「オニの形相」というのだろう。


「ジェロムにお前の良い所を教えてやろうとだなぁ」


「勝手なことしないでよ!!私はジェロムを単純に尊敬してるだけなのよ!?恋愛感情じゃないの」


背後には壁しかない。後ろに下がりすぎて逃げ場が無くなってしまった。汗が伝う。


「『リディアは奥手だから』って何よ!?『デートに誘ってやってくれないか』って何よ!?馬鹿にしないでっ」


ダスンと凄まじい音を立てて、リディア愛用のナイフが顔の真横に突き立てられた。


「で、逃げ出して来たと。そう言う訳か」


テーブルに肘をついて、珈琲を啜るヴィクトールが馬鹿にしたように笑う。全く腹の立つ男だ。


「仕方がないだろう。お前だって殺されるのは嫌な筈だ」


「大好きな妹に殺されるんだ。本望だろうが」


なあ、アラムと声を掛けたヴィクトールは、ふんと鼻であしらわれる。ざまぁみろ。


「アラム、どうしたら良いと思う??」


アラムは心優しい男だ。きっと俺の悩み事に対して、親身になって考えてくれることだろう。


「そんなの知るか。管轄外だ」


お母さん、何処で育て方を間違えたのかしら。前はこんな子じゃ無かったのに。こう叫んでしまいたかった。


「まあ、本人が恋愛感情が無いと言ってるんだから、ほっとけば良いだろ。余計なことをしなきゃいい話だ」


珈琲を飲み干したヴィクトールはクッキーを摘んで口へと放り込む。


「お前んとこは俺と違って妹だろ。性別が違えばそういうの、仕方ないんじゃないか??」



俺んとこは何時まで経っても仲良いから。ほら噂をすれば。ヴィクトールが付け加える。


「ボスレフぅ。ボズちゃぁん」


姿を見せたボスレフにヴィクトールが千切れんばかりに手を振った。周りには見えないハートが飛び交う。


「あんなに笑ってくれるなんて。俺、愛されてる」


お前の妹とは違うんだよ、とヴィクトールは胸を張る。うん、そうだな。俺の妹は天使みたいな笑顔で、立てた親指を下には向けない。


「…リディアは見た目も中身も悪くないから、心配しなくても大丈夫だと思うぞ」


ヴィクトールを哀れんでいる所に、思わぬアラムの励まし。嗚呼、やっぱり良い奴だなと思う。


「じゃあ、アラムがもらっ「俺はいらんがな」


…精一杯、拒否しなくても良いのに。僅かに唇を尖らせると、キモいとアラムの冷たい視線が刺さる。心が痛い。


さて。怒らせたリディアに謝らなければ。ついつい溜め息が零れる。


「マクシームじゃないか」


耳に届く、聞いたことのある声。



振り向けば、そこにはスーツを華麗に着こなすジェロム。それなりに着崩してはいるが、だらけて見えないジェロムマジック。この男ならリディアを任せられる。何時も、そう思ってしまうのだ。


一つ空いた席に強引に座らせる。切り出すのはリディアの話。


「リディアのこと、どう思う??」


真剣な眼差しでジェロムを見つめる。ふと、意外に睫が長いことに気付いた。


「どうって…。きちんとした人だから、仕事を任せられる女性だな、と」


「違う、そういう意味じゃなくて。オンナとしてどうか、という話だ」


呆れた様子でアラムとヴィクトールが俺を見る。いくらでも馬鹿にするがいい。そうさ、俺は自他共に認める妹馬鹿だよ。こうなれば開き直ってやる。


「はあ。美人だし、料理や掃除も出来る。十分だろうと思うぞ。そんなに心配しなくても、良い人を自分で見つけるさ」


にこりと。見たことの無い笑顔がそこにある。困ったかのように下げられる眉尻がとても、印象的だ。



「リディアは大切にされてるな」


そう残して、ジェロムは席を立った。用事があるらしい。働かない頭は無理矢理に、口をじゃあなと動かせた。


暫くぼぉっとジェロムの座っていた椅子を見ていた。様子が変わったのを不審に思ったのか、ヴィクトールが俺の肩を掴んだ。


「俺、ジェロムに惚れたかも知れない」


爆発しそうな脳味噌は何とも、危険な言葉をはじき出した。何処か冷静な自分が居るのが不思議でならないが、自然と口をついた。


アラムが紅茶をヴィクトールにふりかける。ヴィクトールはヴィクトールでクッキーをアラムの耳に突っ込んでいる。何を動揺しているのか、仲の良い奴らだ。


リディアが要らないのなら、俺がジェロムを貰う。ふはは。後になって「私もジェロムが欲しい」なんて言っても、絶対にやらないからな。




ジェロムをモノにする。




右の口角が上がるのを、止めることが出来なかった。



おわり
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