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世界が小さな終わりを迎えるとして(昭治)

 甲斐四兄弟の長男、昭治の視点で、かなり暗いです。

 原作で、玄婆軍に突っ込んでいくときの心境、みたいな。

 
 親父の話は、まるで夢物語だった。







 
世界が小さな終わりを迎えるとして 







 平和なこの時代に生まれた自分にとっては、何とも信じがたい武勇伝で。しかし、親父の話すそれが、作り話とも思えなくて。

 親父が昔の話をする度、弟達は目をキラキラさせて聞き入っていたが、俺には到底出来ないことだった。いつも少しだけ距離を空けて、同意を求められるときだけ曖昧に頷いた。

 
 だって、怖いとは思わないのか?

 死と隣り合わせの毎日で、仲間が次々と殺されていく。

 勝てる算段など無いに等しい中、自らの勇気だけで?


 失いたくないじゃないか。
 出来るなら、戦いたくない。
 争いは無い方が良い。
 違うかよ!?

 どんなに名誉であろうとも、それを正しいとはとても言えない。もし少し立場が違えば、自分たちが悪役にだってなっていたかもしないのに。誇り高くない訳じゃない。でも、自慢なんてしたくない。結局は、誰も彼も人殺しだ。

 そう言ったら親父は、何故か泣き笑いのような表情を浮かべて、俺の頭を撫でた。かさついた、大きな手で。


『お前は、長男だ』
『長男は、下に生まれてくる者を守るために有るんだ』


 諭すように、でもどこか遠くを見ていた親父の目。『今の心を、決して忘れるな』そう言われてから暫くした後、親父は旅だった。遠い、遠い世界へ。

 叔父貴は、それはもう大層大切に、俺達を育ててくれた。感謝なんて、しきれないほどに。恩返しも、ちゃんと出来なかった、なんて。

 そして今、戦況は窮地。
 叔父貴を赤目さんに任せて、兄弟と約束を交わす。

 悪いな、親父。俺はたぶん、弟達を守るどころか、殺してしまうだろう。でもきっと、親父もそうしたろう?後悔だけは、絶対にしないから。


 さぁ、伝説を作ろう。


Fin



 なにげに、赤虎兄さんとかぶせてみたシーンがあったのですが、気づかれたでしょうか?
 かぶせたといっても、イメージを、ですが。(←無理だって
 昭治さんも大概には喧嘩好きそうでしたけどね、やっぱり長男としては、平和を望んで欲しいのですよ。

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